GoToキャンペーンで東北を旅行しまくって分かったこと

7/22から、鳴物入で始まった「GoToトラベル」
Yahooのアンケート調査によれば、8割以上の人々が「利用するつもりはない」と回答している。
これは言い換えれば「旅行に行くつもりは無い」という意味だ。

果たして、コロナ禍の今、旅をしたらどうなるのか?
私は、仕事等の色々な事情もあり、キャンペーン開始からすでに10泊以上している。
そこで実際に東北を旅行して分かったこと・感じたことを殴り書きします。

ぼく

私は、コロナ悲観派/楽観派で言えば、どちらでもありません。
中立的な立場をとっているつもりです。
過度な自粛(自粛警察に代表される迷惑行為)は論外だと思いますが、
能天気にマスクすら着けずにあちこち歩いてるような輩もバカだと感じます…。

今回の旅は、食事等のやむを得ない場合を除き、常にマスクを着用し、アルコール除菌等の適切なコロナ対策を行っています。

なお、この記事は私の実体験をもとにした個人的な見解です。

1.お店がCLOSEDそして入店拒否

東北6県、どこでもいいので観光地へ行ってみてほしい。
残念ながら、お土産屋や飲食店などが、軒並み休業していることに気付く。
たしかに営業しているお店もあるが、平時から比べれば寂しい限りである。

観光地というのは賑わってなんぼ。
閑散とした誰もいない観光地でテンションが上がる人はいないだろう。
もっとも、そういう「非日常」的な光景を見て、最初は、

ぼく

人全然いねーじゃん。静かで良いわ。SNSにアップしよう!笑

と、面白がるだろうが、それも最初だけである。
その後はひたすら「つまらない」「寂しい」といったネガティブな感情が湧いてくる。

また、衝撃的な出来事としては、秋田県の横手市に行ったとき。(これは旅行ではなく仕事にて)
飲み屋で仲良くなった仙台出身の方々と、夜の街に繰り出し、地元の有名な居酒屋に入った。
超有名店なのになぜか店内はガラガラ。
テーブルに案内され、飲み物を注文したときのこと。


店員さん

お客さん達、どちらからですか?

ぼく

あ、仙台からです!

店員さん

・・・申し訳ないんだけど、帰ってもらえます?

ぼく

え・・・(絶句)

こういうやり取りがあった。
お店の立場もわかる。
もしクラスターを出したら休業を余儀なくされるし、田舎社会では風評被害なども酷く、お店は潰れてしまうだろう。

・お客さんには来てほしい。
・しかしコロナは怖い。

本当に苦渋の末の対応だろう。その心中は痛いほど分かる
私も経営者なら同じような対応をするかもしれない。

だから私は何も言わずそのまま引き下がった。
しかし、同行した人は違った。
「いやそれはおかしいでしょ。わざわざ来たんだよ?」と店に食ってかかった。
皮肉にもこうして口論する間に飛沫を介してコロナ感染のリスクが高まっているのだ(笑)

旅先でのトラブルは積極的に楽しむタイプだが、
これはトラブルでもなんでもない。
ただの嫌な思い出にしかならない。

2.ホテルでゆっくり。それすら微妙。

ホテルに引きこもる旅行のスタイルもあるだろう。
特に沖縄などは、高級リゾートに泊まり、ホテルから一歩も出ずにプールで泳いだり、食事したりというパターンもある。
このスタイルなら、観光地や飲食店が休みでも問題無い。
コロナの感染リスクもだいぶ低いはず。

私はこのパターンで、青森県の某高級ホテル(星○リゾート)に宿泊した。

このホテルは、豪華なビュッフェが売りなのだが、
会場は、すべてのテーブルが高いボードで仕切られ、周りのテーブルが見えない。言いようのない閉塞感を感じる。
肝心のビュッフェは品数も通常より少ないし、何より、料理を取りに行く際に、一々マスクを着用し、ゴム手袋を装着しなければいけなかった。
手袋は汗で張り付き、不快極まりない。
当然、ソーシャルディスタンスを守って他の人の動きに注意する。

料理はとても美味しかった。
ただ楽しめたかと言えば、答えは・・・

3.マスクが邪魔

旅と運動は切り離せない。
旅には、ある程度の「運動」が必要だ。
ホテルにずっと引きこもったり、移動もタクシーなどを使いドアtoドアで移動すれば、限りなく運動する機会は少ないが、そういった極端な旅行を除けば、絶対に観光地を歩いたり「運動」をすることになる。

連日の30℃以上の猛暑では、どんなに快適な高性能マスクを着けても、マスクを付けたまま少し歩いたり・運動したりすれば、汗が止まらなくなり、呼吸が苦しくなり、最悪、熱中症になる。苦しみながら観光をするのは、いかがなものか?

「屋外のときだけマスクを外せば?」

それは確かにそのとおり。
しかし、観光というのは往々にして屋外・屋内を頻繁に行き来するもの。
その度に脱着していては手間がかかるし、着けたり外したりする際にマスクに付着したウイルスが飛散するし、あまり利口な行動とは言えない。

「マスクが煩わしい」という根本的な問題の解決は難しい。

4.誰も詳細を知らないGoToトラベル

私は縁あって開始初日からキャンペーンを使うことになった。
キャンペーンの申請には「宿泊証明書」というものが必要なのだが、ホテル側が詳細を把握していないため、この入手に手間取る。

これは、ホテル側が悪いのではなく、そもそも国からちゃんとした説明がなされてないので、ホテル側も手探り状態とのこと。フォーマットもホテルによりバラバラ。
また、一々「宿泊証明書をください」と明言しなければ、もらえない。

私も2回貰いそびれ、ホテルに電話して郵送してもらったり、大変手間がかかっている。ホテルにも申し訳ない。

もう一つ肝心なこと。それは「GoToトラベル」を使うためには、宿泊した施設が対象施設であること が条件。しかし、7/22の段階ではどのホテルも認定されていない状況だった。
宿泊後に、ホテルが認定されなかった場合、どうするのだろうか?

GoToトラベルやるからみんな旅行してね!
ただし、本当にキャッシュバックされるかどうかは分からないからな!

総評【 旅行を楽しめない時代になった】

ここまでを読んで、

旅人

いや、楽しめそうじゃん全然!!(笑)
みんなで旅行しまくって盛り上げてこうぜ!!

こう思った方は、3密を避けてぜひ旅をしてほしい。
観光業を潤してほしい。
飲食店を助けてほしい。
国もGoToトラベルでそれを推奨しているのだから、何も後ろめたいことはない。

ただ、私は今は旅行は楽しめないと感じた。

旅の目的は人ぞれぞれ。

私の場合は、旅行するなら街の活気を感じたいし、地元の人や旅人と会話したり仲良くなったりしたいし、マスクなんか外して3密を存分に味わいたい
だが、そういう旅のスタイルは今は無理。もし、勝手にやったとしても、周りがそれを良しとはしないだろう。

「常に何かを気にしながら旅をする」
っていう、奥歯に物が挟まったような旅は、旅ではない。
私はお断りだ。

あと1~2年は今までのような旅はできない

~コロナより怖い「人々の意識」~

今までのはほんの国内の話。
さて、今度は海外に目を向けると、どう前向きに考えても最低1年ぐらいは旅ができないだろうと思う。

コロナ楽観派の意見

「コロナはただの風邪」
「ワクチン出たら収束する」
「来年には国際線飛び始めるでしょ。」

これは私も概ね同意見だ。
だが、今話してるのはそういう話じゃない。

たしかに、ワクチンの登場でコロナウイルスによる感染は収まるだろう。
しかし、コロナによって大きく変わってしまった「人々の意識」は変わらないだろう。
仮に、コロナが風邪だろうが、ワクチンが出ようが、飛行機が飛びはじめようが、なんだろうが、
そんなことは関係ない。
コロナに付随したもっと深刻な病に、既にみんな感染しているからだ。

テレビに流れる感染者数に一喜一憂する毎日。
コロナ悲観派 vs 楽観派という構図で、SNS上で飛び交う意見。罵声。
私が以前運営していた旅人サークルでも、コロナ禍での現実に悲観したのか、よくわからないことで発狂して辞めてしまった女性がいた。
コロナは色々な人の心を蝕んでいると感じる。
これが先進国でもとりわけリテラシーの高い日本ですら、このような現状。

一方、海外、とくにアフリカ等の発展途上国などは、医療体制は十分ではないし、まだコロナは始まったばかり。今後、猛威を振るうだろう。
ワクチンは十分に行き渡らず、エボラやマラリアのように多くの命が失われるだろう。
アフリカ等の辺境の地へいったことがある人なら分かるだろうが、日本とは異なり、残念ながら総じて彼らのリテラシーは低い。(あくまで平均して見ればという話。そうでない知識人も多くいる。誤解なきよう。)
彼らの中には「コロナ」という絶対悪が生まれ「アジア人=ウイルスの根源」という意識が植え付けられてしまった。
日本人(≒中国人)というだけで差別もされるだろうし、石を投げられれたりするだろう。
場所によっては身の危険を感じることもあるだろう。
ホームステイやヒッチハイクは断られるかもしれない。

こうなってしまっては、もう今までのような旅は難しい。

この状況を改善する「ワクチン」は残念ながら存在しない。
もし薬があるとすれば、それは「時間
人々の意識が自然に改善されるのを、ひたすら待つだけ。

そういったことを考えていくと、beforeコロナのような自由で楽しい旅ができるのは、まだまだ先だという結論に至る。

これは世界一周などの「辺境の地」を旅する場合の話であり、
先進国(ヨーロッパなど)の観光地などを旅行する場合などは、もっと早い段階で今までどおりの旅ができる可能性はある。

だが、それすらも完全に正常化するまでは、あと1年ぐらいはかかるような気はする。

旅人には苦しい時代。だからこそ今できることは?

旅で得られる体験は、旅でしか得られない

いくらYoutubeやガイドブックを見て妄想を膨らませても、
VR旅行が普及してリアルに近い体験ができるようになっても、
やはり実際に現地に足を運んで空気を肌で感じなければ、それは旅とは言えない。

国内旅行は、今後、徐々にできるようになってくると思う。
(今でもできるけど、「より抵抗なく旅行できるようになる」という意味で。)

旅人の中には、「海外しか興味ない!」という人間も多いとは思う。
その気持ちはよくわかる。
海外でしか得られない体験はたくさんある。
しかし、逆に国内でしか得られない体験もたくさんあるはずだ。
私も、コロナの状況を見つつ、旅行しやすい雰囲気に変わったら、まずは国内を回ろうと思う。
海外旅行を超える思わぬ発見ができるかもしれない。